第5話 表裏一体
実は、ちょっとしたビジネスを始めた。内容はまだ言えないんだけど、近いうちに形になる…のかな?
高校からの友人とZoomで飲み会をしている時に、ふとした話から「これ、もしかしてビジネスになるんじゃね」と何かが降りてきて、思い付きで行動を起こした。
コンサルで3年ちょっと働いたクセか、危機感がないと動けない自分への戒めか、はたまたその両方か、夜中の1時にZoomが終わるとき「夕方までに提案書作ってくるから、もう一回集まろう」とわけの分からない強がりを言って、すぐにTeamsでプロジェクトを起こした。それでプロジェクトの趣旨、3年後までのロードマップ、この半年のスケジュール、役割分担、準備するもの、諸々詰め込んで提案書をまとめ上げた。正直言って、あの日のために3年間働いてきたんだと思った。
でまあ、そんなのはどうでもよくて。
なんというか今、これまでの人生で一番ワクワクしている。このワクワクがどこから来てるかっていうのをしっかり言葉にしたいなと思った。これから先、エネルギーが切れてしまった時に役立つかもしれないから。今、俺の中には心当たりが3つある。
1つ目は、趣味を仕事にしているから。
「働く」と「遊ぶ」の境界線がないから、労働時間という概念がない。「あーやらなきゃ~」という焦りもなく、毎週打合せの前には「そうだ、資料にした方が分かりやすいから作っておこう」となる。働きすぎて気づいたら死にかけになってることもあるけど、マジで会社の仕事してる時も来てくれよこのモード。
2つ目は、お互いに信頼しあっているから。
プロジェクト内で役割は決めているけど、上下関係なんて勿論ない。誰かの意見がしっくりきたらそういうリアクションをするし、気に入らなければなぜ気に入らないのか伝える。そんなので壊れる関係性ではないこと、変な気遣いは逆に失礼だということを全員が理解している。
会社にいると、どうしてもこうはいかない。外資でさえ無理だ。立場が上がってくにつれて、誰も俺の意見には反対しなくなった。俺の精度が上がってるのもあるだろうけど、要はみんな嫌われるのが怖いから「100%こいつが間違ってる」という確信がなければ何も言わない。次第に「すごく独りよがりな提案してるんじゃないか」とか不安になってくるけど、結局その答えは出ないままお客さんのところに一人で突っ込む……なんてことがほとんど。
3つ目は、役割が自分に合っているから。
別に、これまで会社勤めしてきた3年間が苦痛だったわけではない。誰よりも若く、誰よりも鋭く、誰よりも早く、そういうプレッシャーの中で生きるのも、それをはねのけるのも、いわゆる「ナンバーワン」としてのムーブは今までしてこなかったから意外と楽しかった。けど、なんとなく疲れが溜まってたのも事実。演じるとまではいかなくとも、慣れない生き方だったんだと思う。
で、少なくとも今は違う。組織を引っ張る監督ではないし、プロジェクトの看板として人を惹きつけるエースピッチャーでもなければ、クリティカルなアイデアで場を沸かす4番バッターでもない。みんなの考えを整理して可視化して、淡々と議論を前に進めて、ビッグドリームと堅実なビジネスの間を追い続ける。このくらいが性に合ってるんじゃないかな。
どうせいつか辛くなってくるんだし、今のうちに楽しんでおこう、的なアレです。