第3話 スクリーンショット

最近、出張先で初めて観光をした。いつも仕事で通る道をわざと通って、いつものタクシー乗り場をわざと使って、けれどもお客さんのところには向かわず、温泉に向かった。

露天風呂から景色を眺める。仕事場だと思ってたところに、こんな優しい場所があったんだな。あがった後はなんだかんだでお酒。ビールは大好きってわけでもないけど、「こういう時は辛口だよな」なんて考えながら自販機に向かう。

タバコ片手に自分と乾杯。いつもより"ほんのちょっとだけ"かっこいい、オトナな自分がいる気がした。缶が少し軽くなってきたら、マッサージチェアを陣取って、ウトウトしてたらもういい時間。この後神社とか色々行ったけど、おまけみたいなもんだ。

総評を言うと、なんだか長編映画のスピンオフを観てるみたいでとても良かった。表現がこれくらいしか見つからない。旅行は年2回くらいでいいと思ってたけど、ちょっとだけ良さが分かった。

 

旅行をしたとき、美味しいものを食べたとき、好きな人が笑ってくれたとき、なんとなく「今の気持ちを保存して、いつでも取り出せるようにしたい」と思う。

写真を加工するのも、同じ気持ちから来ている。見たままの色、見たままの広がりを、全部残らず保存したい。ブログもそうなんだと思う。前にも同じこと言ったかな。

 

社会人生活が1年半くらい経って、「出来ない自分」との付き合い方が上手くなった気がする。こうやって自分だけの時間を取ったり、とにかくもがいてみたり。

謙虚に、だけど自信満々でいこう。